幹部・上司らが責任を免れるのではないか。そんな懸念は増田寛也社長が就任した昨年初めから根強く、記者会見でもよく質問されていたが、上司や幹部らへの本格追及に動きだすことはなかった。
今春までの処分を見て、多くの郵便局員は思ったはずだ。不正に関与してもシラを切って得をするなら、正直者はバカを見るだけだと。そんな組織に金融商品を営業する資質や資格があるのだろうか。
郵便局の現場では今年も、不祥事が頻発している。郵便局長が顧客にウソをついてお金をだまし取ったり、保険の顧客情報を流してお金を受け取ったり――。コンプライアンス意識が弛緩しきって修復困難になっているのではないかと心配でならないが、その姿は、まるで経営陣の失策で組織の腐敗が止まらない「失敗のお手本」のようだ。この「失敗」は、危機管理の教訓をいかんなく教えてくれる。(取材・文=朝日新聞経済部・藤田知也)