公益社団法人落語芸術協会の担当者はこう話す。
「要請などの通達が直接あったのではなく、23日の報道で初めて知った。翌日には、25日からのことを発表しなければならなかった。今日26日の段階では役所等から取り立ててリアクションもなく、淡々と営業しています」。
■経済的な事情大きい
新宿末廣亭の支配人、杉田京次朗さんはこう苦しい実情を吐露する。
「継続するのは、経済的な面が一番にある。赤字が続いており、お客さんの入場料で細々と食べている状況で、無観客にしろと言われてもできない。業種によっていろいろな形があり、寄席に対して無観客というのは意味がわからない。政府のやり方はいかがなものか。全くお客さんが入らないことも考えていたが、お客さんからは好意的に受け止めてもらっており、ありがとうと言われる。こういう時代だからこそ、笑いが必要だと考えています」
1000平方メートル以下の商業施設で休業の「協力依頼」となったミニシアターでも、営業継続を決断したところがある。東京・渋谷の「ユーロスペース」では、25日から座席数を半分にして継続予定。渋谷の「シアター・イメージフォーラム」も、28日から座席を間引いて継続する。
■社会生活の維持に必要
イメージフォーラムのディレクター、山下宏洋さんが言う。
「昨年4月の緊急事態宣言時は、今よりもっとわからないことが多く、約2カ月間休業しました。再開後、お客様から『映画館を維持してほしい』という声を聞き、上映する場を維持することは、社会生活を維持する上で必要だと改めて感じました。お客様の数も概ね変わらず好反応。日々判断しつつ、この状況を維持していく予定です」
東京都の小池百合子都知事は、4月15日、都庁で応じた取材で「エッセンシャルワーカー以外、可能な限り東京に来ないで」と呼び掛けた。新型コロナウイルス以降、耳にする機会の増えた「エッセンシャルワーカー」とは、人々が生活する上で欠かせない業務に従事する労働者を指す。誰もが頭に浮かべるのが、医療従事者や介護・保育従事者、公務員、金融や小売店、運輸・物流にかかわる人だろう。
では、文化に携わる人は、人々が生活する上で欠かせないエッセンシャルワーカーに該当しないのか。芸能ライターのエリザベス松本さんが言う。