また広告以外でも、一見するとがんにかかわる一般的な知識をまとめたサイトだが、最終的に高額な商品の購入に導く健康食品会社のサイトだった、というケースも。高額な自由診療を勧めたいクリニックが、医師を前面に出して巧みに患者を誘導していることもある。
検索エンジン側も、こうした問題のあるサイトにつながりにくくするなどの対策を講じている。2017年12月にグーグルが医療分野の検索アルゴリズムを変更したことも、その一例だ。アルゴリズムとは、検索結果の表示順を決める計算方法のこと。より信頼性が高く有益な情報を上位に表示されやすくする一方で、まとめサイトやアフィリエイト(成果報酬型広告)サイトなどの順位を落とした。
さらにヤフーは18年1月に国立がん研究センターと連携。「〇〇がん」といった病名で検索すると、同センターが運営する信頼度が高い「がん情報サービス」のサイトがトップに出るようになった。
また同年6月には医療機関のサイトを広告とみなし、掲載内容を規制する改正医療法が施行されている。
「以前に比べたら不適切な情報が上位にくる確率は下がりました。しかし規制を強化しても、サイトの作り手は巧妙に抜け道を見つけ、新たな方法で誘導しようとする。イタチごっこで、怪しい情報をゼロにすることはできません。怪しい情報に惑わされないために、患者さん自身が『情報リテラシー(=情報を使いこなす力)』を身につける必要があります」(同)
【監修】
若尾文彦(わかお・ふみひこ)医師
国立がん研究センターがん対策情報センター長
(文/熊谷わこ)
※『手術数でわかる いい病院2021』より