AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:昨年結婚しました。結婚前は相手の働き方や金銭面についてあまり気にしていませんでしたが、結婚後、逆に将来的な不安が増しました。夫は子どもが欲しいと言いますが、転職しない限り家事や育児の分担は望めません。かつては私も子育てしてみたいと思っていましたが、今は不安が尽きない状況でどうやって子どもをもつ覚悟を決めたらいいのでしょう。(女性/フリーランス/37歳/おうし座)
A:お互いにもちろん言い分があるのでしょうが、正直にいうと旦那さんのデリカシーのなさを感じてしまいました。
夫婦で何か大きな決断を伴う行動を実行するとき、今のやり方を変えていくという決意と覚悟があった上で、協力が必要になります。
例えば転職するのであれば、何月までにすると決めて、それまでの進捗報告もしないとダメだと思うんです。世の中、気持ちだけではできないことがたくさんあるわけだから。具体的に動いてくれることで信用ができ、そこで初めて、一人ではできない決断ができるのだと思います。
こういう話で悩んでいる方って、きっとたくさんいるはずです。そういうみなさんに伝えたいのが、「怖いかもしれないけど、ぶつかり合うしかない」ということ。ぶつかることは怖いことですが、ぶつかり合う経験が二人にとっての信用になっていきます。いざとなったら、胸ぐら掴んでやり合うぐらいのけんかや修羅場も、時には必要です。そういう経験を経て、お互いが背中を預けられる人同士になっていくのだと思うから。
そうは言っても、怒ったりぶつかったりするのがものすごく苦手な人もいると思います。そういう人は怒る訓練をしましょう。決行する日を定めて、練習する。これを言って、これを言って、これを言う、みたいにしっかり考え、相手がどう言い訳してくるかを想定して徹底的に逃げ道を潰しておきます。激しい言い方になりますが、相手の性根を叩き直すぐらいの気持ちでぶつかったほうがいい。うまく解決しなくても、ド迫力でぶつかったインパクトは、いい意味で一生残ります。
優しい人ほど周りの期待に応えようとするし、人の願いばかり聞き届けているうちに、自分がやりたいことがわからなくなってしまうことがあります。旦那さんとどうぶつかるかをシミュレーションするその過程の中で、自分の本音も見えてくるのではないでしょうか。相手とぶつかり合うためには、自分の本気も出さなければいけないから。
おうし座は生理的な嫌悪感をわりと抱きやすい人たちなので、結構シャッターをすごい閉じちゃうんですよね。この人とはわかり合えないと感じるとシャッターを閉めてしまうところがあります。
閉じて諦めて期待しないというやり方がもしかしたら一番楽かもしれないけど、そこをもうひと踏ん張りして、「ぶちかます」ということをやったほうが、きっと長期的には楽になれる。今が勝負どころだと思いますよ。
◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2023年2月6日号