日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「ようやく接種できた新型コロナウイルスワクチン」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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ちょうど1週間前のお昼頃、ようやく1回目の新型コロナウイルスワクチンを接種することができました。
「痛くない……」これは、接種直後の私の感想です。
これまで、子宮頸がんワクチンや毎年のインフルエンザワクチン接種に加えて、医療機関で勤務するために必要なワクチンや海外渡航の際に必要なワクチンを接種してきました。しかし、当然ながら、新型コロナウイルスワクチンは初めて接種するワクチンです。
昨年12月の英国でのワクチン接種開始から遅れること約2カ月。2月17日から特定の病院に勤務する医療従事者から新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されたものの、私のようなクリニックに勤務する、いわゆる一般の医療従事者への接種が始まったのは、4月中旬から下旬にかけてでした。
クリニックで外来診療を行なっていると、風邪症状を主訴に受診される方に必ずお会いします。原因が新型コロナウイルスかどうかを症状だけでは判断できないため、PCR検査を行わない日はありません。幸い、今まで新型コロナウイルスに感染することなく過ごせていたものの、ワクチン未接種のまま診療を続けていくことに不安を感じずにはいられなかったので、ワクチンがようやく接種できると分かった時、接種を希望することに対して迷いはありませんでした。
とはいえ、「接種後、どんな反応が自分に起きるか全くわからない」という一抹の不安はありました。すでに接種した医療従事者の方にワクチン接種について聞くと、「全然痛くなかった」「接種後、特に大きな問題はなかった」という声がある一方で、「腕が上がらなくなった」「熱が出た」「気持ち悪くなった」「だるかった」「腕が痛かった」など、個人差はあるものの様々な体調不良を訴える声がたくさん聞こえてきたからです。