竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
お客さまの要望に応え、昨年5月から野菜の取り扱い店舗を増やしました
「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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コロナで変わったこと。その一つが、昨年5月から全国で野菜を取り扱う店舗が増えたことです。そこには、お客さまの要望の変化があります。
コンビニは、その名の通り「便利なお店」。スーパーマーケットには「豊富な品ぞろえ」がある一方で、コンビニは近くにあり、比較的小さなお店で商品が見つけやすく、ささっと買い物ができる。まさに「便利」が大事な要素です。
ローソンに置いている野菜は、それまでカット野菜が中心でした。野菜炒めからサラダまで使える、これも便利なものです。ただコロナになり、それまで遠くのスーパーまで出かけられていた方々が、感染予防の観点からも「近くのコンビニで、もっといろんなものを手早く買えたら」と。
つまり、コンビニの便利に対するご要望が、変化してきたのです。まずはジャガイモ、玉ねぎ、ニンジンなどカレーを簡単に作れる野菜セットを販売してみたり、次は、冬も近くなり鍋用に白菜やネギも試したりしてみました。いまはセットよりも単品の方が使いやすいと、バラ売りにして、品ぞろえも増やしています。
これからのコンビニは「緊急購買から日常購買へ」だと考えています。これまでは、急な出張の際に必要なものを買うなど、「緊急需要」に応える部分が大きかった。でもコロナ禍で、野菜をはじめとして「日常生活で必要な最低限の買い物は、近くのコンビニで全部済ませたい」というニーズが出てきたんです。
そこに応えてきた結果、コロナ前とはずいぶん品ぞろえが変わってきました。無印良品とコラボで実験展開している下着や靴下などのいわゆる「日雑品」も、その流れです。
たとえば「俺のアンダーシャツはいつもローソン。最高!」と、日常のお気に入りとしてご指名いただけるような商品をさらにそろえられるよう、これからもチャレンジしていきたいと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年5月17日号