コロナ禍で大学全体の志願者が減少する中、従来とは異なる新しい学びを提供する「新興学部」が人気だ。AERA 2021年5月17日号は、各大学の取り組みを紹介する。
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「言語など異なる背景がある人との違いを、様々な観点から見る授業や機会が多いことが魅力です」
韓国人留学生で3年生のチェ・イェリンさん(21)がそう言えば、4年生の高島海人さん(21)は夢をこう語る。
「通訳・翻訳の授業での字幕制作などの学びを生かし、海外に発信するコンテンツを作りたい」
2人が在籍する立教大異文化コミュニケーション学部(08年設置)は、コロナ禍による海外渡航の制限などで苦戦が予想された国際系学部でありながら前年比156%の志願者を集めた。特徴は外国語での「コミュ力」を学ぶだけではないことだ。浜崎桂子学部長は言う。
「同じ日本にいても、性別やその場での役割の違いなど『異文化』はあちこちにある。自分と異なるものに出合い、違いに気づき、なぜ理解できないかを考察する。そんな学びの場です」
オンラインも利用しながら、異文化の文化的背景や通訳・翻訳など複数の領域を学ぶ。1学年は145人ほどと小ぶり。うち約20人が正規課程の留学生だ。
「授業自体が、多様な背景を持つ教員や学生の『異文化に出合う場所』になっています」(浜崎学部長)
■カギは学部名の「日本」
明治大国際日本学部(08年設置)も国際系でありながら、前年比104%と志願者が増えた。そのカギは学部名の「日本」にあると、鈴木賢志学部長は話す。
「本学部は『日本と世界をつなぐ学部』。そのために日本のこともしっかり学ぶ点が特徴です。まず日本を学び、留学は行けるようになったら行こうと。志願者が増えたのは、そう思える学部だったからでは」
たとえば「ツーリズム」の授業では、ビジネス面の講義があるほか、日本のアニメが好きで「聖地巡礼」に訪れる外国人を念頭にアニメも学べる。こうした日本と世界をつなぐための組み合わせを考えた授業が多く用意されているという。一方で、鈴木学部長はこう語る。