悪い話はこればかりではない。5月6日、エンゼルスは殿堂入りが確実といわれている大ベテランのアルバート・プホルスを、ロースター枠から外す「DFA」(事実上の戦力外通告)を発表した。チームの説明によれば、指名打者として大谷が、一塁手としては若手のジャレット・ウォルシュが台頭してきており、その結果プホルスのプレー機会が少なくなったことが原因だという。10年契約の最終年とはいえ、レジェント級の選手をこの様な時期に戦力外にしたチームの判断に現地からは驚きの声が挙がっている。地元紙以外のメディアのみならず、OB選手たちからも「不名誉なやり方だ」などとチームを非難するコメントが相次いだ。さらにエンゼルスは、今季マイナーから昇格したばかりの捕手ジャック・クルガーを早々にテキサス・レンジャースにトレードで放出した。ベテランのみならず生え抜き選手ですらぞんざいに扱うチーム首脳陣に、ファンは強い不信感を募らせはじめている。この様に、エンゼルスはチーム成績のみならずその内情もボロボロな状態にある。
その中で唯一明るい話題を提供してくれる大谷にメディアは高い期待と関心を寄せてるというわけだ。打者としては一時リーグトップに並ぶ10本塁打を放ち、投手としては先発陣の中では一番良い防御率を誇る。だが、前述の通り今のチームは守備が悪く、リリーフ陣も崩壊した状況で、彼らが大谷の足を引っ張っていることは否めない。事実、5月5日に行われたタンパベイ・レイズ戦では、先発した大谷は5回を0点に抑える好投をみせたものの後続が相手打線に捕まり、結局3対1でエンゼルスは敗退してしまった。さらに今季最高の投球をみせた前述の11日のアストロズ戦でも、大谷がマウンドを譲った後の8回裏、救援投手が相手に4点を与える崩れっぷりをみせてしまった。いつまでも大谷を援護ができない状態が続いているが、逆に大谷以外で頼りになる投手がいないともいえる。