「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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「主体的・対話的で深い学びを」
来年4月から導入される高校の新学習指導要領において、文部科学省がこんな理念を発表しています。「主体性」。働く大人にとっても、大切なことです。
主体性とは「当事者意識」。英語では「オーナーシップ」ですね。仕事をしていくうえで、「この仕事のオーナーは私なのだ」と自覚できればできるほど、主体性が出てきます。
では、そのために何が必要でしょうか。大切なのは「この仕事を通して社会に貢献している」と実感し、その思いを全員で共有することだと思います。
ローソンでは行動指針「ローソンWAY」の一つに「アイデアを声に出して、行動しよう。」を採り入れ、社員の主体性を醸成しようと取り組んでいます。まず確認したいのは、「私たちの仕事って、そもそも何のためだっけ?」ということです。
「みんなと暮らすマチを幸せにする」仕事であり、そのために一店一店が「マチのほっとステーション」を目指している。それらを実現するために、主体性をもってアイデアを声に出して行動することが必要です。
営業、経理、法務、商品開発など、あらゆる部署のどんな役職に就いていても「この仕事は、マチの幸せにつながっている」と思えるかどうか。「この仕事は何のためにやっているのか」「どう行動すれば、みんなで暮らすマチを幸せにする商品やサービスが作れるか」を常に考えることが必要です。
どんな仕事も社会とつながっているということを理解すれば、自分が今向き合っている仕事への納得感がうまれます。そのことが、皆がそれぞれの分野でキラキラと輝き、主体性を持って仕事をするために大切なことだと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年5月24日号