実は、僕も妻も、息子の特性を受け入れるには、かなり時間がかかりました。「発達障害」というものを子どもに背負わすのはどうなのか、と話したこともあります。今思えば、親のエゴだったと思います。もっと早く気づいて療育に通わせていたら、もっと楽しい思い出を作ってあげられたかもしれない。幼稚園時代、息子は鬼ごっこでは鬼ばかりやっていたし、発表会も運動会も先生に抱っこしてもらっていて、前を向いている写真がほとんどないんです。でも、息子を受け入れてくれた唯一の幼稚園は、発達障害に理解があって、妻には大切なママ友もできました。それは大きな財産です。

 小学校に上がる際は、特別支援学級に進学するのか、通常級にするのか、本当に迷いました。いろいろ調べて学校見学もして、特別支援教室(通級)の拠点校の近くに引っ越しもしました。入学ギリギリまで夫婦で話し合い、結局、通常級に進みました。通常級での生活が難しければ、通級に通わせることもできるという先生のお話があったことと、息子自身が「通常級に行きたい」と言ったことが大きな理由です。

 小学校に上がって、幼稚園の時にはなかった変化もありました。学校へ行き渋って、家を出ても途中で戻ってきてしまうんです。朝から登校できる日もあれば、午後から行く日もある。本人に聞くと「忘れ物があったらどうしよう」と考えるみたいで。でも、いくら準備をしても安心できないし、「靴が痛い」と訴えてきたこともありました。

 話をよく聞くと、絶対何か他の理由があるんです。窓際の席で寒いとか、お友だちからちょっかいを受けるとか。嫌なことはあるけど自分ではそれがよくわからないから、何か理由をつけているんだと思います。「嫌」という感覚がわかってきたのは成長だと思いますし、難しいですけれど、そのスイッチを早く見つけてあげたいですね。

 もう一つ、僕が考えてきたことがあります。僕は片付けの仕事をしています。片付けは整理収納の判断力が重要です。やってもいいことダメなことを判断するということも、片付けを通じて教えられるのではと思って、知育玩具を分ける遊びを通じて、1歳ぐらいから息子と一緒に片付けを始めました。

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