理想の上司ランキング、男性部門で5年連続第1位の内村光良の“上司力”は現実でもすごい――事実、内村の現場は、出演者もスタッフも仕事へのモチベーションが高く、「チームがおのずと動く」と業界内では評判だ。なぜチーム内村はアグレッシブに自走するのか? そもそもリーダー内村はなにがすごいのか?
『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版 6月11日発売)を執筆した博報堂ケトルのクリエイティブディレクター・畑中翔太がリーダーとしての内村を、関係者への取材をもとに解剖する。
第1回目のテーマは「チームの士気の高め方」。
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取材した関係者の多くが証言した要素の一つ、それは、 「内村は誰よりも一番汗をかく」ということ。
演技の現場であれば、誰よりも早く台本を頭に入れてくる。テレビのロケであれば、若手に負けじと、56歳になった体でバク転に挑戦する。そして、複数のゴールデン帯番組でベテランMCを務める立場でありながら、自分自身を追い込むために毎年新ネタを書き下ろし、「内村文化祭」と題してお笑いライブを開催する。
このように彼は若手の頃から現在の立場になっても変わらず、自ら「汗をかく」ことを止めない。置かれた立場や状況の上にあぐらをかいて、現場にだけ汗をかかせ、手を抜いて物事に取り組むことはない。いや、「手を抜けない人」と言ったほうが正しいかもしれない。
内村の従兄であり、内村が高校卒業後に熊本から上京した際に生活をともにしていた、放送作家の内村宏幸氏はこう言う。
「彼の場合、楽なポジションにつこうと思えばつける立場ではあるんですけど、絶対にそんなことはしない。むしろ自分でやってみせることでチームを引っ張っていくというか。事実、『イッテQ』なんかでも自分が一番汗をかいているわけですよね。
だからこそ、周りも『あの人がやっているなら自分もやらなきゃ』みたいなことになって、全体の士気が高まっていくんだと思います。どこの組織でも上の人が汗かいて頑張っている姿をみせられたら、やっぱりついて行くというか、この人のためなら頑張ろうと思うのは当然でしょう。まぁ、彼はそんなこと、まるで意識してないでしょうけど(笑)」