

ポーチに入れ、ハンカチにくるみ、目立たないようにトイレへ持ち込まれる生理用品。その概念を打ち破る「見せたいナプキン」が登場した。タブーを破り、オープンにすることで見えてくるものがある。AERA 2021年5月31日号では、写真家で映画監督の蜷川実花さんと性教育ユーチューバーで助産師のシオリーヌさんが「生理」と「性」を語った。
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日本にはさまざまなタブーがある。「生理」や「性」もその一つだ。中でも生理は、多くの女性が40年前後にわたって毎月のように経験する身近なものなのに、生理用品を購入するときにはそれを隠すように紙袋に包まれ、人前で口にすることさえはばかられて、「アレの日」などと言ってしまう現実がある。
そんな中、思わず誰かに見せたくなるほど鮮やかでスタイリッシュな生理用品が発売された。デザインを手がけた写真家で映画監督の蜷川実花さんと、性教育ユーチューバーとして性に関する知識を発信する助産師のシオリーヌさんが語り合った。
シオリーヌ:初めて見たときにめちゃくちゃ素敵!って思いました。ナプキンって隠さなければならないものとか、なんかこうむしろ目立たないように持ち運ぶものっていうようなイメージがずっとあった中で、めちゃくちゃビビッドなカラーのナプキンを見たときはいい意味で衝撃を受けました。
■かわいい以上の意義
蜷川実花(以下、蜷川):実は何回か同じような依頼を受けたことがあって、「何も私がやらなくてもいいかな」と思ってお断りしたことがあるんです。当時はまだ生理はオープンにしづらい雰囲気で、生理用品にもあまりいいイメージがなくて。でも、今回お話をいただいたとき、ちょっと待てよ、その状況を変えるために受けるべきなんじゃないかって。生理を隠さなきゃいけない状況に一石投じられるんじゃないかなっていう思いで依頼を受けました。
シオリーヌ:この数年、シンプルなデザインのナプキンもいくつか出てきて、昨年は無印良品のものも話題になりました。多様なデザインがあって選択肢が増えることは、いろんな人の生活を豊かにするなと思います。
蜷川:ただでさえ憂鬱(ゆううつ)な生理の期間、手に取って気分が華やいだらいいなと思ったし、初潮を迎えた子どもたちに大きな祝福を込めて渡せるようなものにしたいと思いました。大王製紙にとっても個包装の4色印刷は初めてで、印刷所の協力を仰ぎつつ一部設備を導入して実現してくれました。みんなの熱意が商品にこもったと感じます。