舞台公演の中止、コンサートのリアルから配信への切り替え、制作の中断や延期──。コロナ禍で数々の苦難に直面した。東京は3度目の緊急事態宣言下にあり、予定されている舞台やステージに立てるかどうかはわからない。だが、言葉に悲愴感はない。希望を持って歩みを進める。AERA 2021年6月7日号から。
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——6年ぶりとなるソロアルバムのタイトル「PLAYFUL(プレイフル)」は、「遊び心のある」という意味も持つ。コロナ禍の今だからこそ、失くしたくないものの一つでもある。
堂本光一(以下、堂本):そこまで深い意味を持ってつけたわけではないですけど、そう受け取っていただけるなら、ありがたいですね。
このアルバム自体、ひっちゃかめっちゃかなんですよ。コンセプトがあって全体を作ったわけではないし。「PLAYFUL」は、それがいい意味でおさまる言葉です。実は、多くが海外アーティストによる作曲で、一曲一曲は非常に計算されています。コーラスはすべて自分でやっているので、全体を通して聞いたときに「光一らしいな」とか、「この曲に対してこんなコーラス入れるんだ」とか思っていただければと。
■本番よりも稽古が好き
堂本:ものごとを構築する、作り上げていく、その作業自体が好きなんです。ライブにしても舞台にしてもそう。ある意味、本番より稽古が好きです。そうやって緻密に積み上げた先に生まれる遊び心が、すごく魅力的だと思うんですよね。はなっから「自由でいいや」というのとはちょっと違う。その意味では、自分とは相反するタイトルでもあるんです。
——ソロ以外にも、KinKi Kidsとして、舞台人として、多様な音楽活動を展開している。ソロとしての表現を、どのように捉えているのだろうか。
堂本:それぞれ全く違う表現ですが、「これはこうだ」「あれはああだ」とか、いちいち頭で切り替えていません。自分が思うようにやれば、それになるんですよ。その場でのやり方っていうのがありますから。KinKi Kidsになると、バランスは考慮しますが。