理由としては様々なことが考えられるが、コロナ禍のため昨季の試合数が通常の162試合から60試合に短縮されたことが原因だと主張するのが、自身も左肘の負傷で離脱した救援左腕のザック・ブリトン(ヤンキース)だ。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(6月3日付)のウェブサイトによると、ブリトンは「(負傷が増えたのは)2020年の短縮されたシーズンと大きく関係がある。打者は恐らく(通常のシーズンと比べると)400打席は少なかっただろう。打席でビルドアップする機会を失ってしまった。これは投手もイニングをこなせず一緒で、(試合がなかった)マイナーリーガーにも当てはまる。今は元(通常の162試合)に戻ったことで、プレーの量が増え、それが体にとって負担となっている」と述べている。

 また、ブルワーズのマット・アーノルドGMや、パドレスのジェイス・ティングラー監督も、コロナ禍による変則的な日程から通常のシーズンに戻ったことで、選手たちがコンディションを整えるのに苦労し、怪我が増えていると語っているようだ。

 日本のプロ野球も昨年はメジャーほどの試合数減とはならなかったが、143試合が120試合に短縮された。さらに、開幕も遅れたことで日本シリーズは11月の下旬に行われるなど、大きなスケジュールの変更があった。オフシーズンの期間も短くなり、コロナ禍で海外渡航も制限。通常どおりの時間を過ごせなかったことで、選手たちが新シーズンに向けてのコンディション調整に苦しんだのは一緒と言えるだろう。

 ただ、コロナ禍による不規則なシーズン以外にも原因があるという見方もある。米紙ニューヨーク・ポストのウェブサイト(5月19日付)は、ア・リーグ球団の幹部の意見として以下のようなコメントを載せている。

「スイングも大きくなれば、労力も大きくなる。投球も以前にもましてエネルギッシュになった。今は多くの選手が楽にプレーをすることができない。また、体の動きを毎回確認するのが良いとされ、打撃練習の時でさえも全力を出している」

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