いつの時代も、薄毛はコンプレックスの代表格。おでこや頭頂部にかけて髪の毛が薄くなる男性型脱毛症(AGA)は、日本人男性の約30%に発症するとされている。
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昨今、薄毛治療専門のクリニックもよく目にするが、実際、どのような治療が行われているのか。東京メモリアルクリニック理事長で、新潟市でさとう美容クリニックを営む佐藤明男医師に話を聞いた。佐藤医師は薄毛治療の診療ガイドラインの作成にも携わっている。
そもそも、人はなぜ薄毛になるのか。佐藤医師によれば、「始まり」は意外なほど早い。
「人間の頭髪は何歳のときが最も太いのか調査したところ、ピークは中学2年生ぐらいとわかりました。それを過ぎると、誰でもいずれ衰え始めるんです」
平均的な発症年齢は25歳ごろから。生え際や頭頂部などから、年月をかけてじわじわと薄毛になっていく。
薄毛になるメカニズムはこうだ。
髪の新陳代謝を毛周期という。自然に抜けたあとに産毛が生え、成長期で2~6年ほどとどまり、やがてふたたび抜け落ちる。ところが、思春期を過ぎると男性ホルモン(テストステロン)の副産物(DHT)の影響でこの周期が短くなる。つまり、髪が太く育ち切らないうちに抜けてしまうのだ。
現在の主な治療法には、
(1)投薬(プロペシアやザガーロ)
(2)注入治療(投薬効果を高める「成長因子」などを頭皮に注入)
(3)自毛植毛
の三つがある。病院での治療の基本は投薬で、現在の主流は2005年に日本でも認可されたプロペシア(成分名:フィナステリド)とそのジェネリックだ。佐藤医師はこう解説する。
「プロペシアに代表されるフィナステリド製剤は薄毛の進行を阻害する予防薬。飲み薬で、治療費は月5千~8千円程度です。予防以上の効果を発揮することがわかっていて、男性型脱毛症の原因を排除できる唯一の薬として高く評価されています。ただし、効果が出るのに時間がかかるという特性がある。私は通常、1年は投薬を続けてみて、効果が上がらなければ自毛植毛を勧めています」