部活動にも興味があったが、「部活をやるなら奉仕をすべきだ」という教団の暗黙のルールに従って諦めた。

 悩むことはあったが、このときはまだ信仰心が強かったというまゆみさん。中学生の時に洗礼を受けて正式な信者となり、「神の考えの通りに生きていくしかない、私に選択権はない」と思うようになっていたという。

 高校生になると、経典の解釈も自分で理解できるようになり、信者への愛着も湧いてきて信仰の尊さを実感する一方で、学校の勉強も面白くなり進学の希望を見いだしていた。

「教義では女性に学歴はいらない、いわゆる良妻賢母をよしとするので、親は『大学に行くわけがない』と思っていたようです。『ハルマゲドンが来るから大学にいかないで布教活動をしろ』と教えられてきましたから。でも将来は教員になりたい気持ちを伝えると、最終的に両親は学費こそ出してくれませんでしたが、進学は許してくれました」

 国立大学の教育学部を卒業したまゆみさんは、社会教育施設の指導員として勤務するが、ここでの体験が大きな転機となる。

「虐待されている子どもたちと接していて、これはサタンのせいなのか、教団に入信すればこの子は幸せになれるのか、と初めて信仰に強い疑問を感じたんです。それと同時に自分自身が子どもの頃に受けた体罰の記憶がよみがえってきました」

 まゆみさんは小学校に入学する前から、“この世には善と悪の2種類しか存在しない”という二元的な思考と“愛されるには一定の要求を満たさねばならない”という教えを親からたたき込まれ、その手段の一つとしてゴムホースや皮のベルトでお尻をたたかれていたという。

「集会で、話を聞いていなかったり、少しでも経典から目を離したりすると、たたかれました。人の前で、お尻を出され何度もたたかれました。たたくことで悪魔を追い出せるといいますが、親からの体罰は屈辱と恐怖以外の何物でもありません。思い出すと手が震えることもありました。でも、屈辱と恐怖と裏腹に、私は自分が異性の前で下半身をさらされて親にたたかれたり、目の前で他の子たちがやられているのを見たりしてつらかったはずが、いつの間にか性的興奮に結び付くようになっていました。そうした傾向は幼少期からあって、夢に見ては喜んでいたんです。そんな記憶を喚起したことで、こんな感情になる自分が気持ち悪くて、こんな自分にした宗教団体と親をどういう気持ちで受け入れていいかわからなくなっていました」

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「教団に戻ったほうがいいのではないか」