「野球はエンターテインメントであり、(プレーでもパフォーマンスでも)観客を喜ばせることが自分の仕事」というウインタースは、93年3月には、CNNの人気番組「ラリー・キング・ライブ」にゲスト出演し、本国でも注目を集めた。
パの踊るホームラン王対し、“セのエンタメ王”と呼べそうなのが、アレックス・ラミレスだ。
ヤクルト時代は、志村けんの「アイーン」や加藤茶の「加トちゃん、ペッ」をアレンジした「ラミちゃん、ペッ」、ダンディ坂野の「ゲッツ」など人気芸人の物真似芸を次々に披露。ホームランを打った直後やヒーローになったときに、新ネタやニューアレンジバージョンで笑いを取るのが、すっかりお約束になった。
04年4月3日の横浜戦では、1対3の8回にエディ・ギャラードから左中間席に起死回生の逆転3ランを放ち、ヒーローインタビューに呼ばれると、なぜかタオルをかぶった姿でお立ち台へ。タオルを外すと、なんと、禿げヅラと付け髭の“加トちゃんスタイル”だった。
スタンドが笑いの渦に包まれるなか、ラミレスは鼻の下の付け髭が落ちそうになるのを2本の指で押さえつけながら、「今年の新ネタを最高の場面で披露できてうれしいよ。たくさんのファンの前で勝てて幸せだね」と喜びをあらわにした。
実は、これらのパフォーマンスは、来日後に始めたもの。メジャー時代は「挑発行為と受け止められるから」と慎んでいたラミレスだったが、来日1年目の01年、チームメイトの度会博文から「アイーン」を教わり、グラウンドで披露したところ、子供たちがとても喜んでくれた。
以来、「ファンをハッピーにしたい」一心から“芸の道”を究め、巨人時代の09年の首位打者をはじめ、本塁打王2回、打点王4回の輝かしい実績とともに、グラウンドのエンターテイナーとして記憶されることになった。
マウンド上の派手なパフォーマンスで強烈な個性を発揮したのが、86年に来日した阪急のアニマル・レスリーだ。