続いて、真菜さんの故郷、沖縄に住む父親の上原義教さんが質問に立った。

 黒いスーツに紺色のネクタイ姿の上原さんは言葉を詰まらせながら、被告に対し、あなたは人間の心を持ってないのか、過ちを認めずに車のせいにする、悲しみと怒りを覚えると訴えた。

「私には夢がありました。真菜と莉子にも夢がありました。そのすべての夢が奪われました。せめて、自分やった過ちを認めていただきたい」

 しかし被告は、

「お二人が亡くなられたことについては、本当に悔やんでおります。車で出なければ事故が起こらず、お二人の命もそのまま大丈夫だったわけですから」

 などと答えるだけ。上原さんは、

「最後に一言だけ」

 と、被告に向かってこう言った。

「もう一度、よく考えてほしい。本当に自分は悪くなかったのか。心の底から『ごめんなさい』と聞けるのを楽しみにしています」

 被告にこの声は届いたのか。被告は、車いすに乗り、下を向いたまま退廷した(編集部・野村昌二)

AERAオンライン限定記事

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?