和田先生は「NICUを退院したら病院の役目はおしまい、ではない」と言う。
NICUでの治療が必要だった赤ちゃんは、退院の日を迎え、その後元気に育っていても、成長とともに障害などが現れる可能性があるからだ。
そうしたサインをいち早く発見し、対応すれば、障害によって被る子どもの「困難」をできるだけ少なくすることができる。それには継続的なフォローアップが必要ということで、同センターは「フォローアップ外来」を開設した。退院後から1才6カ月までは2~3カ月ごとに受診してもらい。その後は3歳、6歳、9歳の発育発達を診ていく予定だ。
「赤ちゃんの成長を診るだけでなく、お母さんのケアができる場にもしていきたいと考えているんです。例えば、産後うつは早く気づいて精神科を受診してほしい病気なのですが、育児で手一杯のお母さんは、自分のために病院に行こうという発想にはなかなかなりません。でも『赤ちゃんを見せに来て』というと病院に来てくれます。赤ちゃんの日々の様子や心配に感じていることなどを聞きながら、お母さんの心身の不調にも目を向け、必要な場合は専門医につなげられるような場にしていきたいです」(和田先生)
コロナ禍で医療のひっ迫と隣り合わせの状況下、今日も国立成育医療研究センターの新生児科では、低出生体重児の入院中だけでなく退院後の生活も見据え、母親に寄り添った医療が行われている。