■棺に入ったときキレイでいたい
レーザー治療の専門クリニックであれば、患者の肌状態に合わせて使えるマシンを数台そろえているという。河野さんによると、気になるクリニックにはまず「どのようなレーザーマシンがありますか」と問い合わせをするのも良いという。
「血管系、メラニン系、いぼ系など3種のレーザー治療機があれば専門的といえるでしょう」
さて、ここまで最近の美容医療の治療法を説明してきたが、イメージが変わったという方もいるのではないだろうか。高齢でもより身近なものになってきたのは、気になる人にとっては朗報だろう。
とはいえ、リスクもゼロではないし、お金もかかる。湘南藤沢形成外科クリニックR総院長の山下理絵さんはこう話す。
「自分が払える金額と目的をしっかり伝えることが大事です。大きな希望があるのはわかるけど、無理な場合もある。こちらも、どの辺までできるとか、そうなるためには『この部分を努力してください』と言います」
紫外線を浴び続けないように啓発したり、洗顔方法を聞いたり。
「20~40代がやっているような美容ケアの方法を50~70代でもやっている人にはやめてもらいます。ホルモン量が減った60代では何ができるのか、70代では何が。そう考えて、軽いものから案内します」
やはり、まずは信頼できる医師を見つけて、相談することから始めるのがいいだろう。
先述したボトックスで「失敗」したタカコさんは、その後もシミ取りレーザーや皮膚の引き締め効果のある施術などを定期的に受けている。
「メスを入れているわけじゃないので、そんなにガラッと容貌(ようぼう)は変わらないし、あくまで本人比。それでもちょっとシミが少なくなるだけで気分がぐっと上がるんですよ」
ちなみに、山下さんのクリニックにはこんな患者もいたという。
「70代の方が『今度、母を連れてきます』って。お棺に入ったときにキレイに見られたいんですって。『あ、この人キレイね』と。最後の望みがそれなんだそうです」
(本誌・大崎百紀、矢崎慶一)
※週刊朝日 2021年7月2日号より抜粋
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