漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「おかえりモネ」(NHK総合 月~土曜8:00~ほか)をウォッチした。
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令和年代が初めて描かれるという朝ドラのヒロインは永浦百音(清原果耶)。「モモネ」の愛称は「モモ」ではなく「モネ」。
宮城県気仙沼湾沖の島で育ち、登米市の森林組合に就職したモネが、やがて気象予報士を目指し上京するという物語。
この朝ドラ、ちょっと不思議だ。たいてい朝ドラは、セリフに情報が詰め込まれている。出勤や登校、家事などあわただしい時間。時計代わりのテレビ画面に集中しなくても、だいたい話の筋がわかるように出来ているのが朝ドラだ。
しかし、この「おかえりモネ」はものすごく余白がある。セリフが無いまま、音楽が流れる場面が多め。ヒロインは語らない。木にも登らなければ、池や川にも落ちない(木登り&水に転落は朝ドラあるある事案)。
モネは空をながめる(無言)。森林をみつめる(無言)。朝日をあびる(無言)。そしてなんか画面がモヤってる。
山にたちこめる霧、水面に立ちのぼる気嵐(けあらし)。自分の部屋でたそがれてる時にも、フワフワ漂うスモークが。蚊取り線香でもたいてんのかーい。
なんなの、このモヤり具合。印象派なの? モネだけに。朦朧(もうろう)体なの? モネだけに(どうしても2回言いたかった)。