別のメーカーの担当者も、「うちも従業員が、組織委から売り上げに関する情報を出さないでくれという趣旨の連絡を受けた」と明かしつつ、
「この状況では隠したって仕方がない。売れ行きは全然だめです、本当にだめ。どのくらい売れてないか数字が出せないくらい売れていません。このままでは廃棄が数万点にのぼるかもしれない」と危機感を募らせる。
そして、
「契約前にあらかじめグッズの製造数の概算を出し、このくらいのロイヤリティーが支払えると見積ったうえで契約しており、ロイヤリティーはすでに組織委に支払っています。コロナなんて誰も見通せなかったし、こちらも利益が出ると見込んで契約を希望したので仕方がないことですが、たとえ五輪が中止になっても1円も返ってきません。売れないとメーカーの赤字が膨らむだけなんです」
とこぼした。
事実、6月19、20日の土日に都内や近県の公式グッズを扱う店舗を訪れたが、どこも客足はまばらだった。趣向を凝らした衣料品や食器、文具や工芸品など多種多様なグッズが並ぶが、手に取る人は少なく、ぬいぐるみたちもどこか寂しげだ。
「応援グッズなどが少しずつ売れてきてはいますが、なかなかお客さんに来てもらえません。大会が始まったらもう少し上向くと期待してはいますが……」
と店員の表情はさえない。