ひきこもりは、家にこもるだけがひきこもりではありません。周囲に対して違和感を覚え、孤立感に苦しむのもまた、ひきこもりの一つの形態だと私は思うのです。

「心のひきこもり」が続くなかで、ハマったことのひとつが他人への依存でした。「ダメな男性にほどのめり込むダメンズウォーカーだった」でもあったそうで、異性との関係や友人への依存によって自分の支えにしていました。

 恩田さんのように狭い人間関係に没頭する人も、不登校やひきこもりの人のなかには見受けられます。人間関係で苦しんだからこそ、人間関係を狭めて没頭し、満足感や安心感を得ようとするからです。

「小2からの行きしぶりがあった」「自傷が止まらない時期があった」「他人への依存で自分を支えていた」など、ひきこもりで長く苦しんだことがうかがわれるエピソードが多くありました。

■ 相次ぐまさかの展開

 その後、ブイちゃんはどうなったのか。ここからは「まさかの展開」が相次ぎます。

 最初の「まさか」は海上で居場所を見つけたこと。学校でも職場でも居場所が見つけられず、身も心もボロボロになったとき、ピースボートに出会いました。「私のことを誰も知らないところに行きたい」と思ったからです。

 これが見事にハマりました。船旅で出会う同乗者や現地の人たちの価値観は多様です。同乗者は16歳から90代まで、在住地なども、もちろんバラバラですし、船旅の楽しみ方もバラバラです。のんびりと旅を楽しみたい人もいれば、人との交流にアクティブな人もいます。「どんな私でも許される」、そんな風通しのよい雰囲気にはじめての安心感を得たのです。

 次のまさかは、世界でも類を見ない「洋上のフリースクール開校」です。ピースボートに感銘を受けたブイちゃんは、スタッフとしてピースボートに就職。2010年には「私と同じような思いの人も多いはず」と考え、あるプログラムを開設します。プログラム名は「グローバルスクール」。対象者はピースボートの船旅に参加する若者です。

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