だがトラウトが10年近い大型契約を残し、アンソニー・レンドンとも20年からの7年総額2億4500万ドルの契約を結んでいるだけに、エンゼルスといえども23年オフにFA権を得る大谷との契約延長は難しい問題となる。今季の大谷が投打で示したポテンシャルを評価すれば歴史的な大型契約の可能性も十分にある反面、負担の大きい二刀流選手がどこまで全盛期の力を維持できるのかなど未知数の部分も多分にあるからだ。
もちろんエンゼルスが大谷と大型契約を結ぶこと自体は可能だろう。だがそれによって他の戦力補強が進まずチームが低迷するのでは本末転倒で、その低迷が続けば前述のトラウトのように大谷放出論も出てきかねない。
エンゼルスがトラウトと大谷の「トラウタニ」コンビを擁する間に黄金時代を築けるのか。はたまた暗黒時代突入で彼らを放出せざるを得なくなるのか。今後数年のエンゼルスの成績は大谷という不世出の逸材の将来だけでなく、MLB全体の勢力図を一変させる可能性を秘めている。(文・杉山貴宏)