頭に浮かんだことをありのまま文字にして書き出していく行為で、「書く瞑想」とも言われ、セルフケアの手法として注目されている。海外ではミシェル・オバマ元大統領夫人やメーガン妃、エマ・ワトソンなども習慣にしていると言われる。
山本さんが愛用しているAIジャーナリングアプリ「muute」(ミュート)は思ったことを日記のように綴ると、AIが投稿の内容から感情の揺れ動きや思考パターンなどについて分析し、フィードバックをくれるというサービスだ。
■「自己の空洞化」が課題
昨年12月にリリースされたばかりだが、「想像を上回る反響があった」というのは同アプリのプロダクトデザイナー・岡橋惇さん。今年1月にはApp Storeヘルスケア/フィットネスカテゴリーで1位を獲得した。
「ターゲットであるZ世代は、複数のSNSアカウントをうまく使い分ける一方で、本当の自分がわからなくなる『自己の空洞化』という課題を抱えています。限定された人とだけつながる『鍵アカ』でもネガティブなことを書くのはよくないと自制している人が多い。『何を書いても受け入れてくれるのが嬉しい』というユーザーの声もあります」(岡橋さん)
トイレに入って一息ついたときなど、日に何度も、思い出したらmuuteに書き込むという山本さん。
「SNSには書けないことも吐き出せるし、一人じゃなくてAIが見てくれている感もある」
外部には“低刺激”、自分の内面には“高関心”。Z世代にとどまらず、うなずく人は多いのではないか。(編集部・高橋有紀)
※AERA 2021年7月5日号より抜粋