しかし、そんなニューヨークのメディアも最近では少しずつ変わってきている。例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は「Ohtani Can Do It All(大谷はなんでもできる)」(5月14日付)という見出しを付け、スポーツ面の一面で特集記事を掲載。そして、「ルースになれる可能性を持った二刀流スターだ」と称賛している。また、ヤンキースのゲリット・コール投手も「僕は大谷の大ファンだ」(MLB.com)と明かし、大谷の活躍を絶賛するメディアやチーム関係者も増えてきている。
だが、その一方で、今でも大谷に未練を持つ現地メディアも存在する。
例えば、『NJ.com』は「ヤンキースは大谷を逃した代償をいまだに払っている」(6月23日付)という見出しで、調子の悪い今のチーム状況を批判しながら、「もし大谷がいれば、ヤンキースではコールに次ぐ2番手の投手となり、ホームでは25本以上の本塁打が打てる中軸になっていただろう」と述べている。
また、ヤンキースの専門メディア『Yanks Go Yard』も「大谷がエンゼルスと契約を結んだ結果、ヤンキースの計画がどのように変わったか」(5月21日付)という記事では「当時の大谷は未知数であり、また怪我も多く、もしヤンキースに入っていれば何らかの形でチームの勝利を妨げていたかもしれない」と指摘しながらも、「左の強打者かつ優れたピッチングができる大谷は、現在のチームの補強ポイントに合致している」とも述べている。
この記事を執筆したトーマス・カランナンテ記者に、ニューヨークのメディアやファンが大谷をどう思っているのか詳しく話を聞いた。
「ヤンキースファンは間違いなく彼にブーイングの雨を浴びせるのではないでしょうか」
同記者はこのように大谷の登板について自身の予想を述べた。そして、その理由について次のように語った。
「大谷選手がメジャー挑戦を表明した際、多くのメディアがヤンキースが最有力候補だと報道し、ニューヨークのファンを期待させました。しかし、実際にはそうはならず、ヤンキースファンの中には裏切られたと考える人もいます。もちろん実際は違います。しかし、大谷選手は“現代のベーブ・ルース”ともいえる存在でもあることから、ニューヨークのファンにとってその事実は大変受け入れがたいものになっています」