さて、今回の騒動で興味深いのは、その後の対応です。多くの参加者は謝罪動画をあげましたが、中にはさらに煽るような動画をアップロードしたり、謝罪しなかったり、対応はさまざまでした。私は飲み会に参加していたすべてのYouTuberのチャンネルの趣向や視聴者の属性を正確に把握しているわけではありません。正解の対応はチャンネルにより異なるため、対応は個々のチャンネルごとに異なって当然です。謝罪動画を出さずに、書面のみという伝え方も正解の一つであると考えます。活動がYouTubeの動画のみであれば、視聴者との信頼や関係だけを考慮すれば良いからです。

 YouTuberにとってはファンが最も大切で、ファンの望む姿を見せるのがエンターテイナーであるためです。問題は、YouTuberとしての活動が他に展開している場合です。例えば、企業とのコラボ商品を発売予定であったり、テレビや雑誌やラジオなど他の媒体にも進出しているパターンです。この段階になると、単に視聴者を楽しませるYouTuberとしての役割だけでなく、本格的にインフルエンサーとして企業の利益に貢献する役割と責任が発生します。この自覚は非常に大切で、社会人としての経験が少ないYouTuberが苦手とする部分でもあります。組織や会社や上司などの集団の一部としての関係性を築かずに個のチカラで成功することが多い業界のため、この自覚のなさは身につかなくても仕方がない部分もあります。

 今回の一件で、危惧されるのは、YouTuberという存在のイメージが悪くなることです。多くのYouTuberは真面目でコツコツ努力する人々です。炎上した飲み会の参加者たちも、努力の上にチャンネルを成功させた人々です。ものすごく苦労して頑張って積み上げてきた結果、多くの登録者やファンを抱えているのです。インフルエンサーとしての自分の立場の自覚さえ持てば、もっと多くの仕事ができるポテンシャルがある人々です。

 この騒動の裏で、ヒカキン氏の株があがっていますが、彼はインフルエンサーとして自身の立場をよく理解して正しい行動をしています。コロナ禍で、都知事が「密を避けるように」という大切な発信を若者にも広げるために起用したのが、YouTuberたちでした。起用されたYouTuberは、ヒカキン氏だけではありません。多くの企業や、自治体や、省庁も注目している存在がYouTuberです。YouTuberが、さらなる活躍ができるかどうかは、インフルエンサーとして自覚ある行動ができるかどうか、にかかっています。インフルエンサーは、可能性を多く持っている存在であるため、自覚のない軽率な行動によって、チャンスが狭まるのは非常にもったいないと思います。

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