この記事の写真をすべて見る
緊急事態宣言下の東京で、多くの登録者を抱える人気YouTuberたちが深夜まで大勢で飲み会をしたことが大きな話題となりました。
YouTuberにいわゆる文春砲が放たれたことは、インフルエンサーもすでに芸能人やスポーツ選手などと同じレベルで「話題性のある存在」と認識されている事実を示しています。今回のYouTuber飲み会は、世間の認識と大きくズレた行動であったために炎上しました。この飲み会について、同じく人気YouTuberのシバター氏が「批判している皆さんは会食していないのか」と語っていましたが、多くのまともな会社の人々は、実際に飲酒を伴う会食をしてません。この意識の違いが、恐ろしいことであり、炎上の発端です。
YouTuberは思いの外、自由な存在です。たとえ事務所に所属していても、実質的にはフリーランスや個人事業主、一人社長のような立場です。飲み会をする際に上司の許可をもらうこともなく、スケジュールを知らせておく必要もありません。会社員として大企業の看板を背負っている責任もないので、緊急事態宣言下において接待や飲酒を伴う会食の自粛をしろという上司や会社からの絶対的な指示もありません。働き方のほとんどが自由であり、ほとんどの決議権も自分にある存在です。
事務所との関係性も、芸能人とは異なります。テレビや雑誌などの媒体を通して活躍する芸能人の場合、事務所の権限は非常に強くなります。テレビ番組やドラマの役割やCMに起用される人材など、限りのある座席をそれぞれの芸能事務所が確保し、どのタレントや俳優やモデルに振り分けるかの権限は事務所が持っています。そのため、芸能界は上下関係が厳しく、体育会系のような雰囲気で、組織として動く面が非常に大きい体制です。
一方、YouTuberなどのインフルエンサーは立場が異なります。自分でチャンネルを持ち、発信している上に、ファンがついています。たとえ事務所を辞めても、移籍しても、全く仕事に支障がありません。人気YouTuberが機嫌をとる相手は、YouTubeやGoogle、スポンサー企業と視聴者であり、事務所ではないのです。分かりやすく言えば、「事務所に所属してあげてる」状態です。YouTuber事務所は、「数字を持ってるYouTuberに所属してもらっている」という関係性のため、機嫌を損ねて彼らが全員辞めてしまうと立ち行かなくなります。この関係性から、プライベートや仕事の内容に強制力を持たせることは、思いのほか難しいのです。