私は、「西村、斎藤両氏はたしかに経産省出身だが、構想は悪くない。対話して両者が納得できる戦略を打ち出してほしい」と強調した。竹中氏は了承し、西村、斎藤両氏と会談して、両者が同調できる戦略を構築することになった。

 もう一つは、日米同盟を積極的な形にすることであった。従来、日本は安全保障を米国に委ねる日米同盟を維持してきたが、オバマ、トランプ両大統領の時代に米国は“世界の警察”を降り、日本は主体的な安全保障を構築しなければならなくなった。そのことを確かめると菅首相は、もちろん全力で取り組むが、現在はコロナ禍での東京五輪に全エネルギーを注いでいるのだ、と答えた。

 最後に私が、「有観客で東京五輪を開催して、もしも感染者が急増したら、菅内閣は崩壊せざるを得ないのではないか」と問うと、「それは覚悟している。だが、そうならないために全力を注いでいるのだ」と強調した。

 菅首相は覚悟を決めている。だが、多くの自民党国会議員たちにその緊張感がなく、だから菅首相に言うべきことを言わないのではないか。それが大いに不満である。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年7月16日号

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