■禰豆子を最初に保護した人たち

 竈門兄妹の姿を見て、最初に水柱・冨岡義勇が、彼らの庇護者になる。つづいて元水柱・鱗滝が、禰豆子の保護にあたった。鬼化以降、言葉を失い、赤子のように無垢になった禰豆子と、妹のために命をかける炭治郎を見て、鱗滝は、彼らをただのか弱い子どものように抱きしめた。

<よく生きて戻った>(鱗滝左近次/2巻・第9話「おかえり」)

 鱗滝・義勇はともに、鬼殺隊の中で大きな貢献を果たしており、この実力者2人が竈門兄妹の擁護に名乗りをあげたことは、彼らの運命を好転させた。

 さらにその後、竈門兄弟は無惨と敵対する「医師の鬼」珠世(たまよ)と愈史郎(ゆしろう)から信頼を得て、協力し合うようになる。
「鬼が敵(かたき)でありながら、鬼の肉体を持つ者」、この禰豆子が抱える矛盾が、「人間と鬼」を新しいかたちでつないでいく。

■禰豆子を「殺せない」鬼殺隊隊士たち

 次に、禰豆子を救ったのは、炭治郎の同期・我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)だった。善逸は禰豆子の入った「箱」の中身を見ぬままに、身をていして、その「箱」をかばう。善逸が「箱」を守った最初の動機は、炭治郎への信頼からでしかなかった。しかし、その後、「箱」から出てきた禰豆子を、鬼として扱うことはなく、ひとりの人間として接した。そして、禰豆子に恋をした。

 同じく、炭治郎の同期・嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)も、交流の中で、禰豆子を可愛がるようになる。

 禰豆子を知るほどに、彼女を「殺せない」鬼殺隊の隊士たちが増えていった。

■「鬼を憎む」胡蝶しのぶに起こった変化

 大切な両親と姉を鬼に惨殺された蟲柱・胡蝶(こちょう)しのぶは、鬼への怒りを抑えることができない。時に残酷な方法で、鬼を滅殺しようとする。

<人の命を奪っておいて何の罰もないなら 殺された人が報われません>(5巻・第41話「胡蝶しのぶ」)

 しかし、炭治郎が妹を守る様子や、兄のために傷ついた禰豆子の様子を知るうちに、鬼を葬ることに対して、自分の葛藤に思いをはせるようになる。禰豆子の入った箱を、「鬼殺隊柱合裁判」の場に無断で持ち込んだ、風柱・不死川実弥(しなずがわ・さねみ)をけん制し、その後、自分の屋敷に竈門兄妹を連れ帰り、保護を申し出るなどの変化が起きた。

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「俺は君の妹を信じる」(煉獄杏寿郎)