「大事なのは何を食べるかより、いつ食べるか。体内でNADの合成が活発になる昼に合わせて朝しっかり食べ、夜はあまり食べないほうがいい。私ですか? 朝食にステーキなどたっぷりとした夕食さながらのメニューを食べて、ランチは普通、夜はチーズやフルーツ、ナッツなどをつまみながらゆっくりワインを1~2杯飲むという食事法を続けています」(今井教授)
20時までに夕食を終えることで、抗老化と関係の深い質の高い睡眠が取れるようになり、さらに週2~3回「うっすら汗をかく程度」の軽い運動を加える「抗老化」な日々を送っているという。いつも体重を気にしてしまう人に朗報なのは、「小太り体形が抗老化酵素eNAMPTを増やす」ということだ。
「eNAMPTは、脂肪組織から分泌されることがわかっています。太りすぎは抗老化の大敵ですが、抗老化酵素を増やすには小太りくらいでいることが大事。BMIが20を切るような痩せすぎの人は、要注意です」
タンパク質より炭水化物を多く与えて小太りになったマウスのほうが、タンパク質を多く与えてスタイルがよくなったマウスより長生きしたという。過度な“糖質オフ”は長生きにはマイナスなようだ。
ちなみに、前出のNMNはごく少量とはいえ、枝豆やブロッコリー、アボカドなどの野菜からも摂取できるという。
それにしても、もし今後「人生120年時代」が現実のものになったら、私たちは今より幸せに生きられるのだろうか。
「無条件でバラ色の未来になるとは思いません。お年寄りが今の地位にしがみついて自分たちのことしか考えないと、社会は混乱するでしょう。元気な年長者と若い人たちがどうやって共存を果たすのか。どういう社会を目指すのかをしっかり考えていく必要があります」
(福光恵/本誌・秦正理、大谷百合絵)
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※週刊朝日 2021年7月23日号
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