五反田の歓楽街で相談会の呼びかけを行った(提供)
五反田の歓楽街で相談会の呼びかけを行った(提供)
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相談会の会場(提供
相談会の会場(提供
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、コロナ禍で生活が苦しくなった女性に対する支援について。女性による女性のための取り組みを紹介する。

【写真】こんなものまで…食料や生理用品だけじゃない女性の支援物資

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 女性たちから悲鳴のような声があがっている。昨年の緊急事態宣言以降、職を失ったり、労働時間を減らされたりなどして、生活がたちゆかなくなっている人の多くが、非正規雇用の女性たちだ。NHKの調査によると、女性非正規雇用の5人に一人が、コロナ禍で仕事を失ったという。しかも再就職率は6割という低さだ。女性の非正規雇用者は約1400万人(男性650万)だから、300万人近い女性が(!)、コロナ禍で経済の打撃を直接受けたことになる。

 貯金をする余裕のない女性は仕事を失ったとたんに家まで失うこともあり、これまで男性が多かった炊き出しなどの支援の場にも、小さな子どもを連れた若い女性が食事を求めて来る姿も増えてきた。1カ月間、唯一の食料は砂糖で、水道水に砂糖をとかして、それだけで生き延びてきた若い女性もいるのだと、支援活動をしている友人が教えてくれた。

 困難を抱えた女性たちのための相談会が7月10、11日、台東区で開催された。ジャーナリストの松元ちえさんの呼びかけで、福祉職員などの専門家らによる「女性による女性のための相談会実行委員会」の、今年2回目の相談会だ。今回は第二東京弁護士会との共催で行われた。

 この取り組みの素晴らしさは、相談者を会場でただ待っているのではなく、事前に街に出て女性たちに呼びかけ続けてきたことだ。女性たちが働く夜の街のコンビニや、24時間保育園やホテルのロビーなどにチラシを置いたり、小さな拡声器を使い路上で「困っていることはないですか」と呼びかける。夫のモラハラやDVで家にいられなくなった女性たちが泊まっているかもしれないからと、マンスリーマンションのポストを逃さず、小さなホテルも一軒一軒回り、フロントの人に頭を下げながらチラシを一枚でも置かせてもらおうとする女性たちの力が、この相談会を支えている。

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