「賞味期限が残りわずかの商品を安く売るのが目的ではなく、納品期限を超過したことで出荷される流通先が限定された商品を、適正な価格で販売するのが目的です」(高岡さん)
ユニークなのが購入システムだ。利用者は専用サイトで事前に決済。販売機のQRコードをスマホで読み込み、「ワンタイムキー」のパスワードを入力して購入商品を取り出す。オンラインで商品を注文して店頭で受け取る買い物スタイルは「BOPIS」(ボピス)といい、欧米や中国で普及が進む。みなとくの沖杉大地社長(33)は、「非対面でキャッシュレス。自分の好きなタイミングで受け取れるシステムの利便性は、コロナ禍で一層実感してもらえると思います」と話す。
■通常品より人気あり
販売エリア内に約70万台の自動販売機を展開する「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」は今年3月から、賞味期限が残り2カ月ほどに迫った飲料などを扱う自販機の設置を自治体と協力して進めている。現在、東京都や神奈川、滋賀県内の自治体関連施設に計3台あり、年内に5台に増やす。賞味期限の1カ月前になった商品は取り除くなど品質管理も徹底している。
対象は同社が製造販売している約200種類の飲料。自販機の一部を「フードロス対策コーナー」として区分けし、通常価格より最大60円ほど安く販売している。通常の商品よりも売れ行きが好調だという。
同社の廃棄物の総量は賞味期限切れの商品を含め年間約10万8千トン。「余剰在庫の削減と、購入者の食品ロスへの意識向上のきっかけになることを期待しています」(同社広報)
メーカー、消費者、環境の「三方よし」の取り組みになりそうだ。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2021年7月19日号

