
なでしこジャパンは、東京オリンピック2020に向けた最後の強化試合を終えた。対戦相手はオーストラリア(FIFA女子ランキング(以下略)9位)。今季初めての、ランキング上位国とのゲームだった。
オーストラリアのデータ分析や、男子高校生とのトレーニングからの学習を生かし、ディフェンスはこれまで以上に安定。想定通りに前半を0対0で終えると、ハーフタイムに6人の選手交代を行ってリフレッシュしたオーストラリアの猛攻も耐えきった。そして、長谷川唯のクロスがオーストラリアDFのハンド=PK獲得につながり、 これを岩渕真奈がしっかりと決める。そのまま1対0で守り切り、今季6連勝を飾った。
クロスをはじき返した後のボールを拾われ、シュートを打たれる部分など、選手は反省点や課題を口にしたが、あくまで前哨戦。当日の気候を加味しても、絶好調時に比べれば選手の動きも鈍く見えたし、チームとしての伸びしろは残っている。
さて、東京オリンピック2020でも、女子サッカーは、開会式よりも前の水曜日に、各競技の先陣を切って開幕する。なでしこジャパンはE組。札幌で北米の強豪・カナダ、イングランドを中心としたイギリス(4協会合同チームで他にウェールズから1名、スコットランドから2名の選手も加わる)と戦い、宮城スタジアムへ転戦してチリとの第3戦に臨む。
カナダ(8位)は、2012年のロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会と、オリンピックでは2大会連続の銅メダルを獲得している。2015年の女子ワールドカップで開催国を務め、同大会ではベスト8に終わったものの、これに伴うチーム強化が生きたという面が大きい。黄金期から世代交代の時期にさしかかっており、ベテランのシンクレアと台頭してきた若手を組み合わせているが、最近の数試合を見る限り、得点力不足の懸念は残る。
イギリスには、イングランド(6位)から19人、スコットランド(23位)から2人、ウェールズ(34位)から1人が参加している。それぞれの所属協会のポイントを人数分合算し、チーム登録人数の22で割った平均数値は1939.4ポイント。これは1940ポイントの11位北朝鮮に近いポイントで、日本の方が格上ということになる。この数字遊びは別にしても、混成チームの完成度には疑問符がつく。