――結婚30周年にして初めての挑戦も
妻:こんなずうたいしてますけどね、この人はすごく繊細なんですよ。一生懸命、言葉の裏側とか人の真意を知ろうとするの。役者だからかしら。「お前の本意がわからない」なんて言われたこともありましたね。
夫:そうねえ。
妻:私は亥年のB型で、もう、そのまんまの人間なんです。困ったら困った、イライラしたらイライラした顔をするんです。
夫:ほんとに裏表がないんだってことがわかるまで、時間かかりましたね。
妻:(夫は)普段は大勢でいるのが好きで、誰でもウェルカム。なのに一人になると読書したり、将棋の勉強をしたり。ぴしゃーっと自分の世界に入っちゃう。
夫:そうねえ。
妻:私はたまの休みには一緒に何かしたいんですよ。ウキウキして「ねえ、どこか行こうよ!」って言っても、「頼むから休ませてくれよー」って。スイッチがオフになっちゃう。
夫:よく「明るい奥さんでいいですね」って言われるんですけど、ずーっと明るい人がそばにいてごらんなさいよ。結構大変だから(笑)。
妻:だから家ではほとんど、仕事の話はしないようにしてきたんです。
夫:もったいぶるわけでもなんでもないんだけど、結婚してから、ほとんど共演してこなかったのもそこなんです。家へ帰ってからも「あそこのあれは、もっとこうすればよかった」とかっていう話になるでしょ。そしたらオンとオフが切り替えられなくなっちゃう。
妻:でも、今年は結婚30周年で私が芸能生活40周年。節目の年に何か2人でやってみようかって。
夫:彼女がずっとやりたかった、絵本の読み聞かせを舞台にしようと。こうなったらオンもオフも諦めようと覚悟はしたんですけど……。
妻:何よ?
夫:夜、さあ寝ようっていう時に限って「ねえねえ、あそこだけどさあ」って始まる。
妻:お言葉ですけど! ベッドに入ったらすぐ寝るようなこと言ってますけど、そこからがいろいろあるじゃない。落語を大きな音で聞いたり、YouTubeでお笑いの動画見たり。
夫:勉強のためだよ。
妻:なら、話したっていいじゃない? 寝てるのを起こしたわけじゃないんだから。
夫:こないだなんて、屋根裏部屋から衣装着て下りてきましたからね!(笑)
妻:あははは!
夫:もう諦めてるよ。それよりお願いだから、もうちょっと予算のことも、考えてくれる?(笑)
(聞き手・浅野裕見子)
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