別の参加者は、「すでにバブル方式が穴だらけとわかったのだから、今すぐにでも開催を中止するべき」と訴えた。

 主催関係者はメガホンを取ってこう叫んだ。

「開催まで1週間切りますが、中止することが最善のコロナ対策。命が奪われてはならない」

 訴えたのは、コロナ禍の開催への不安だけでなない。この日、IOCのバッハ会長が、広島市を訪れたことに対しても、デモ参加者は抗議。バッハ会長は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長らとともに、平和記念公園を訪問。「団結なくして平和は実現できない。五輪を通じて平和に貢献したい」と、開催意義を訴えたという。同じ日、ジョン・コーツ副会長は長崎市を訪れた。

 主催関係者はデモで次のように批判した。

「バッハ氏は広島に行き、これらか札幌や福島にも行くと言っている。国民は首都圏から移動するなと言われているのに、IOC会長はそれを破る形で、平和のイメージを作るためのパフォーマンスを、これからも続けようとしている」

 広島でのバッハ会長の訴えには、「政治的なパフォーマンス」と冷ややかな視線を送る国民は少なくない。ネット上では、緊急事態宣言下での移動に対して「外国人は別枠なのか」といった批判の声も。実際、広島市の平和記念公園のすぐそばでは、市民団体による抗議デモが行われた。

 さらにバッハ会長は、13日に共同通信のインタビューで、7月21日にソフトボールが行われる福島市と、8月7日に女子マラソンが行われる札幌市を訪問する考えを明かしている。

 元博報堂社員で、東京五輪の問題に詳しい作家の本間龍氏は、IOC委員の行動を「組織委員会の中に止める人がいないのか」と疑問を呈した。

「国民には行動自粛を要請しておきながら、“五輪貴族”は広島・長崎に行く。いま、そうした行動はとらないほうがいいと、彼らを止められる人が組織委員会にいないのでしょうか。橋本聖子会長は一緒に広島についていくし……。そのような行動をとってはコロナ禍での開催する意義について国民への説得力もなければ、逆に国民の神経を刺激し、反感ばかり買うことになる。今の時期の行動として理解に苦しみます」

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