そこで大学院のほうもこうした社会環境の変化に対応して、さまざまな学びのニーズに対応しているのだ。
学部を卒業してそのまま大学院に進む場合、修士課程を2年間で修了し、さらに研究を続ける場合は3年間の博士課程に進むのが一般的なコースだ。
修士課程を博士前期課程、博士課程を博士後期課程と称する場合や、修士と博士の5年一貫コースとする大学もある。目的は学部で学んだ分野の知識や技術の高度化で、博士課程になると主に研究者や大学教員の育成をめざす。
高度職業人育成を目的とする専門職大学院は、大学院をめざす社会人の受け皿となっている。修士課程と同じ2年制が基本だ。
また1年で必要な課程を集中的に修了する場合や、3年から5年の長期履修制度で年間科目修得数を少なくして負担を減らす大学院もあり、仕事の都合や生活のスタイルに応じて選択できるようになっている。
社会人が大学院で学ぶパターンとしては、大きく四つに分かれると瀧本さんは説明する。平日の退社後や土日休日に、夜間開講や昼夜開講をしている大学院に通うのが第1のパターン。
第2のパターンが長期履修制度を利用するもので、時間をかけて自分のペースで学ぶのなら向いている。
3番目のパターンは在宅学習が中心の通信制大学院で、スクーリングもあるが、通える範囲内に目的に合った大学院が見つからない、または空き時間を利用したいような場合には便利。
4番目は休職や、思い切って退職して勉学や研究に専念するパターン。昼間開講の大学院にも通えるし、1年制の大学院で短期間のうちに必要な科目を履修してしまうことも可能だ。
「最近はオンライン授業を採用する大学院が増え、社会人でも時間の都合がつけやすくなりました。入学せずに授業が受けられる科目等履修生や聴講生まで含めれば、大学院で学ぶことができる機会は広がっています」
とはいえ、職場への配慮を忘れないようにと瀧本さんはアドバイスする。