「バブル方式」で開催されるコロナ禍の東京五輪。しかし、大会を前にこのバブルが穴だらけであることが発覚。入国ラッシュの空港のほか、全国のホストタウンと選手村の「穴」も相次いで報告されている。AERA 2021年7月26日号の記事を紹介する。
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バブルの「穴」の一つは全国に分散するホストタウンと選手村だ。13日時点で全国533の自治体が185カ国・地域の選手を受け入れることになっているが、当の自治体側は戦々恐々としている。というのも、次々と感染者が出ているからだ。なかには空港検疫を素通りして、自治体の到着後に判明した例もある。
■ホストタウンも「穴」
12日にはブラジル選手団のホストタウンである静岡県浜松市が、事前合宿施設で働くスタッフが感染したと発表した。選手ら50人との接触はなかったという。組織委員会の関係者は、バブル方式の肝は、海外からの選手団以上に、受け入れるホストタウン側のスクリーニングの徹底だと強調する。
「宿泊施設で働くスタッフの検査態勢は万全でなければなりません。万が一、従業員がクラスターとなって選手に感染させたとなれば、大問題になります。日本のワクチン接種率は海外と比べて遅れていることも念頭に置かなければなりません」
市保健所感染症対策課はAERA本誌の取材に対し、選手団や関係者の間で感染が発覚した場合、基本は組織委員会が発行する「プレイブック」にのっとり、組織委員会側が独自の対応を行うとした。その上でこう続けた。
「仮に選手団や関係者の間でクラスターが発生した場合、市が有している宿泊療養者用の二つのホテルで隔離することになると思います。浜松市にはブラジル人の労働者が多く、ポルトガル語を話すスタッフがいます。他の地域と比べると態勢は充実していると思います」
バブル方式を徹底するためのもう一つの要は、オリンピックファミリーや海外要人たちの行動制限だ。
■責任者はいったい「誰」
ある大使館関係者は、要人らを日本で迎える立場として、こう本音をぶちまける。