「夜間の外出禁止ひとつにしても、プレイブックで禁止されていると説明しても、それは法律なのかと。そうでないならば、従う必要はないというのが日本以外の国の常識ですよ。日本の『行政指導』の意味が理解できないのです。仮に夜間に外出をしたことが発覚したところで、じゃあ、何を根拠に罰則を与えるのか。実際、日本側は何もできないのが現状です」
選手たちの外出はプレイブックで禁止できても、オリンピックファミリーや海外要人は「治外法権」なのだ。実際、バッハ会長が宿泊するホテル近くのコンビニエンスストアには、大会関係者が昼夜問わず自由に買い物に訪れているという。
政権は東京五輪が「スーパースプレッダー大会」になるのではとの懸念の払拭(ふっしょく)に躍起だ。だが、結局、バブルを順守させる責任者は誰なのか。全く見えないことが、東京五輪の最大の不安であることは間違いない。(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年7月26日号より抜粋