

AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:半年ほど前に辞めた会社のことが忘れられません。あまりいい辞め方をしておらず、嫌だったことや嫌いな人たちをいつまでも思い出してしまいます。さらには、辞めるときにもっと困らせておけばよかった、言いたいことを言っておけばよかった、と考えてしまいます。転職活動にも身が入りません。どうすれば前向きになれますか。(女性/無職/32歳/ふたご座)
A:いただいたお悩みを読んで、「わかってもらえなかった」という傷について、考えさせられました。
おそらく、困らせておけばよかった、言いたいこと言っておけばよかったという思いの元にあるのは、自分のしてきた努力や気遣いに対して「気づいてもらえなかった、わかってもらえなかった」という虚しさではないかと思います。そのダメージは人が抱える寂しさの中でも相当大きな部類に入ると思うんです。
個人的な話でもあるのですが、仕事って、もっと人間的なやり取りやコミュニケーションがあるものだとみんな期待している気がします。例えば大きな仕事を成し遂げたら、よく頑張ったねとか、ありがとうと言ってもらえるはずだ、と。でも「ありがとう」がない取引先とか、担当窓口の人って、まあまあいる。僕自身も大人になってから、仕事で人間的なやり取りができない人や職場って存在するんだなと気づきました。例えば上司があんまりあいさつをしない人で、その流儀が部下や職場全体に広がっている職場。「こういう返事の仕方ある?」とか「こういう押し付け方ってある?」みたいな疑問は、多くの人が一度や二度は感じたことがあると思います。長期的には、そういうところとの付き合いをどう少なくしていくかが重要な気がします。
自分の行いに対してきちんと誠意と愛を持って対応してくれない人たちに尽くしてしまったこと、一生懸命頑張ろうとしてしまったことは、ダメージとしては残りますが、その傷は経験値にもなります。嫌な言い方になってしまうけど、「この人に対してはこの程度でいいや」がわかってくるから。人を見る目が養われていく。「この程度でいいや」というコミュニケーションは、自分を守る上では大事にしたほうがいいです。返ってこない返答ほどきついものはなかったりするので。そこは見切っていいと思います。