ヴィッセル神戸の古橋亨梧(C)朝日新聞社
ヴィッセル神戸の古橋亨梧(C)朝日新聞社
イニエスタ(右)と肩を組む古橋(C)VISSEL KOBE
イニエスタ(右)と肩を組む古橋(C)VISSEL KOBE

 日本屈指のFWが、ついに欧州の名門へ羽ばたく。ヴィッセル神戸の古橋亨梧(26)が、かつて中村俊輔(現横浜FC)が在籍したスコットランドの強豪・セルティックへ移籍を決めた。

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 18日朝に急きょ行われた移籍壮行会では、ホームのノエビアスタジアム神戸に集まった2757人サポーターたちの前で「僕は皆さんに感謝しかありません。どんな時も熱く優しく時には厳しく応援してくれたこと、皆さんの前で、言葉には表せないくらい」と目に涙を浮かべながらも笑顔であいさつした。この様子はYouTubeでも生配信され、ピーク時は同時視聴数が約8000に達した。

 古橋は、今シーズンのリーグ戦21試合15得点と現在得点ランキング1位。突破力のあるドリブルと左右両足の正確なキック、相手の守備陣の隙をつく動き出しのうまさ、パスを受けるトラップの正確さなど、高い技術を挙げればキリがない。運動量も驚異的で、その走力を生かし、試合では相手チームのDFやGKがボールを持っていると、古橋が徹底的に追いかけ回してプレッシャーをかけ続ける姿は、それだけで観衆が盛り上がるほどだ。

 そんな古橋も、これまでのサッカー人生がすべて順風満帆だったわけではない。

 古橋は大阪の強豪・興国高校から中央大学に進学し、プロ選手を目指したが、なかなか声がかからなかった。一時はJリーガーになることを諦めかけたが、大学卒業間近にFC岐阜の目に止まり、2017年から岐阜でプロのキャリアをスタートさせた。

 真面目な性格で、サッカーに対して惜しみない努力を重ねる古橋は、すぐにチームで頭角を現していく。FC岐阜の在籍1年半で、リーグ戦68試合17ゴールと結果を残すと、2018年シーズン半ばにJ1のヴィッセル神戸へ移籍を果たした。

 神戸でもすぐにポジションをつかみ地位を確立していったが、それ以上に大きかったのが世界的な名手たちとの出会い。元ドイツ代表FWのルーカス・ポドルスキ(神戸には2017年から2019年シーズンまで在籍)、元スペイン代表であり元FCバルセロナで数々のタイトルをとってきたアンドレス・イニエスタ(2018年途中から現在)、元スペイン代表のダビド・ビジャ(2019年)といったワールドカップの優勝経験者たちがチームメートとしており、技術や得点センスがさらに磨かれていった。

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イニエスタも実力を「太鼓判」