開幕直後に自打球で離脱した坂口智隆(現在は二軍調整中)を除き、ここまで主力に長期の離脱がないのも大きい。思えば前回優勝の2015年も、野手ではウラディミール・バレンティン(現ソフトバンク)以外、主力に大きなケガはなかった。高津監督も「過保護にするわけじゃないですけど、やっぱりこの状態をキープして試合に出させるというのも、こちらの大きな役割の1つだと思うので、そういうところは気を使っていきたいなと思います」と話しているように、後半戦もいかに故障者を出さなく乗り切ることができるかが重要になる。

 もっとも「(前半戦で)大きな連敗をしなかったっていうのは、打線はもちろんですけど、先発が長いイニングを投げてゲームを作るとか引っ張るとかっていうところが、誰かが週の6試合の1人でもできるようになってきてるのかなっていう感じはしますね」と高津監督が言うように、打線以上に光ったのは投手陣、特に先発ピッチャーといっても過言ではないだろう。

 昨年は先発が序盤から試合を壊すことも多く、QS(先発が6回以上投げ、自責点3以下に抑えた試合)率はリーグでも圧倒的に低い30.8%だったが、今季前半戦は41.0%。リーグでは下から数えて2番目の数字ではあるが、先発が“試合をつくる”確率は前半戦が終わりに近づくにつれて上がっていった。6月11日以降の9カードで見ると、6月25日~27日の巨人戦(神宮)を除けば1カードに1度は先発がQSを達成していて、この間のQS率は50%を超える。

 なかでも、5試合以上先発した投手の中で最も高いQS率60%を記録しているのが、ドラフト1位で入団して2年目の奥川恭伸だ。今年は開幕から一軍で常に10日以上の登板間隔を空けながらも、チームでは田口麗斗、小川泰弘に次ぐ10試合に先発して4勝2敗、防御率4.19。年齢の近い古賀優大と初めてバッテリーを組んだ5月5日以降は、先発7試合中QS6試合と、この間のQS率は85.7%に達する。

 この奥川に次いで開幕投手の小川がQS率57.1%、開幕前の電撃トレードで獲得した左腕の田口が同53.3%、そして来日3年目のアルバート・スアレスは同50.0%。今季前半戦でいえば、先発投手がQSを達成した試合は.786と高い勝率を誇るだけに、後半戦も先発投手がどれだけ試合をつくれるかがポイントになりそうだ。

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板野友美の夫になった左腕にも期待