そしてチームとしてのオプションにも不安が残る。森保一監督は、0対0が続いた60分に相馬勇紀を投入し、久保のゴールが決まる直前には、上田綺世と旗手怜央が交代の準備をしていた(先制した後、予定通りに72分に交代)。いずれも同ポジションでの交代で、システムなどの変更はなかった。通常、どうしても得点が欲しい展開となった場合、純粋なFWを並べる2トップの形、あるいは3バックにして中盤、前線の人数を増やし、選手の立ち位置を変えて相手マークをずらす方法などがあるが、コロナ禍で強化試合が中止となった影響もあってか、その有効なオプションを磨き上げることはできていない。この日、選手交代の効果は乏しく、久保のひと振りがなければ、あのまま守り切られていた可能性が高い。
もう一つ、グループリーグ初戦で、遠藤航、堂安律、中山雄太の3人がイエローカードを受けた点が気になる。特に遠藤と堂安は、このチームにおいて替えの効かない選手であり、中山もこの日は攻守に好パフォーマンスを見せていた。今後の予定を見ると、中2日で迎える次戦は、フランスを4対1で撃破した強敵・メキシコが相手。ここで敗れると、第3戦のフランス戦が決勝トーナメント進出の大一番になる。
超過密日程の中で金メダルを目指すのならば、第3戦での休養は必須条件であり、日本としてはメキシコ戦で2連勝を飾りたい。だがもし、メキシコ戦で遠藤、堂安、中山が再びイエローカードをもらい、その上で試合にも敗れたとなれば、今度はフランス戦が一気に危うくなる。本人たちが気をつければいいが、この日のような不可解なレフェリングが次戦も続くようならば、非常に心配だ。
1対0、好発進なのは間違いない。だが、手放しでは喜べない。ここから先の戦いが重要であり、特に次戦・メキシコ戦は、日本の真価が問われる戦いになる。25日の20時、再びキックオフの笛が鳴る。