なぜ急に自分の話をしたのかというと、YouTuberにはこのような「いじめられっ子」や「不登校」の経験者が少なくないからです。インターネットは弱者のツールとも呼ばれているので、いじめられっ子や変わった子も活躍できるフィールドです。また、逆に「いじめっ子」もいるのがYouTuberです。良くも悪くも目立つ存在であったり、クラスの中心にいたような人々も、YouTubeで人気になりやすいからです。他人に対する配慮や傷つけることに対して感度が鈍い傾向があると、炎上しやすいです。

 小山田氏の件で、擁護とも取れる言動や、さらに煽るような発言をする芸能人や親族の方や業界関係者もいましたが、おそらく彼らはいじめっ子側の視点を持っているのかもしれません。人生で一度でもいじめられた経験がある人は、被害者の苦しさが理解できるので、「25年も前の記事で大げさな…」「時代がそれを許容していた」「過去のことを大げさに喧伝するネットいじめだ」「批判している人は正義感を振りかざしている」なんて、口が裂けても言えないからです。この温度差も、注目すべきポイントです。

 人は、自分の立場や経験や知識の範囲内でしか、想像力を働かせることができません。いじめっ子の立場だった人は、基本的にいじめっ子の発想です。逆もまた然りです。従来のメディアは、いじめっ子の発想を持っている人の権力が強かったのではないかと思います。

 バラエティー番組の企画や、広告のフレーズや雑誌の記事、演者の言動など、従来型のコンテンツは、各所に違和感を覚える箇所がありました。現代では、SNSという弱者も声をあげられるツールが台頭しています。いじめられっ子だった人やその家族が、いじめっ子的な発想の事柄に対して、異議を唱えることができるのです。これからのメディアは、従来の「いじめっ子」達が排斥され、むしろ「いじめられっ子」側やいじめられっ子の気持ちを理解できる人々が活躍するのではないかと思います。小山田氏の一件は、SNSにより「いじめられっ子」が本格的に台頭する世代交代の現れともいえます。

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