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ミュージシャンの小山田圭吾氏が、東京オリンピック・パラリンピックの開会式の楽曲担当を辞任しました。
彼は、雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」と「クイック・ジャパンvol.3」の約26年前のインタビューで、学生時代に障害を持つ同級生に苛烈な暴行を働いていたと、武勇伝のように自慢する記事があり、炎上しました。
記事の真意は不明ですが、内容は読んだ全ての人が嫌悪感と憎悪を感じるような、醜悪なものでした。「いじめ」という生ぬるい言葉ではなく、虐待や暴行と表すべき行為で、被害者の方とそのご家族のことを思うと、とても胸が痛くなる記事です。
また、東京五輪の開閉会式の制作チームで「ショーディレクター」を務めていた小林賢太郎氏も、過去に行ったホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を揶揄するネタを理由に解任されました。
多くの人は、彼らが国際的な平和の祭典であり、障害者の方々も活躍するオリンピック・パラリンピックの開会式の楽曲などを担当するのは、ふさわしくないと考え、SNSで糾弾しました。一般的に「炎上」は2つの原因で起こります。「倫理的にアウトな行為をする」と「世間の感覚とズレている」ことです。小山田氏の場合は、障害者に対する虐待や暴行、それを教唆する行為という前者と、インタビュー記事で武勇伝のように語ったことという後者の両方が当てはまります。炎上すべくして炎上したといえます。当初は謝罪文を掲載して続投しようとした小山田氏でしたが、大会4日前に一転し、辞意を表明し辞任するという異例の事態となりました。
そのトリガーは、国内のSNSの炎上から海外にも派生し記事になったことや、スポンサーが難色を示したことなどが推察されます。普通は、大会4日前での音楽の差し替えは困難で、どんなに皆が彼に嫌悪感を抱いても構成メンバーの変更はされないと思われましたが、それを覆すほどの事態となり、圧倒的なSNSの力を感じました。
唐突な話をしますが、実は私はいじめられる側でした。中学生の頃に1年ほど完全に無視されていました。「無視」は意外にも精神的に辛いもので、まるで自分がこの世に存在していないような気分になります。現在自分はYouTuberであり、このようにコラム等を書いて情報を発信する立場になっていますが、動画でも文章でもツイートでも、コメントや誹謗中傷やアンチなど様々な反応があります。普通の人はアンチコメントや批判的な意見が来ると怒ったり悲しんだりしますが、私の場合は(リアクションがあるだけマシだな)と考えてしまいます。無視されることの恐怖を知っているからです。