
今回共演するYOSHIKIとの出会いは、サラが出演し、YOSHIKIが音楽の指揮を執っていた映画「REPO! レポ」(08年)。その後、10年の時を経て「Miracle」という楽曲でコラボレーションしている。
サラはYOSHIKIについてこう語る。
「仕事への責任感が強く、ディテールにもこだわるのでとても信頼しています。どんな人とも違うユニークさがあり、YOSHIKIと一緒になにかをすることは、私のインスピレーションにもつながっています」
YOSHIKIも、サラを「素晴らしいという言葉では言い表せないほど美しい歌声」と評し、互いにリスペクトしあう様子が伝わってくる。
■感謝の気持ち忘れない
そんな2人は、再びともに新曲を共同制作している。コロナ禍やウクライナ侵攻によって困難が続く現在の状況について、サラは「生き延びるためには、難しく考えすぎるよりシンプルに物事をとらえる方がいい」と話す。サラ自身、何げなく過ごしていた日常の尊さを感じているという。
「行きたいところに行けて、やりたいことができる。そうした経験を通して私たちは成長する。日々の暮らしの中で感謝の気持ちを忘れないことが大切」
新曲の歌詞には、そんな自らの思いを反映させた。
少しずつ日常を取り戻す今、改めて気付いたことがある。それは、イギリスで久しぶりに劇場で舞台を見た時のことだ。
「終演後、周囲のお客さんがみんな涙を流していたんです。そんな光景を見るのは初めてで、みんなでひとつの場に集まって何かを体験することや、音楽や芸術がもたらす力を感じました」
自身も再びコンサート活動を本格化させる中で、「これまで私がどれだけ観客から力をもらっていたかを知りました。コンサートができることは、実はお客さんよりアーティストの方がうれしいんです」。
今回のツアーは、そうして力をくれるファンへの、サラからのプレゼントでもある。
「さまざまな風景が閉じ込められたスノードームがたくさん並んでいるような、カラフルなコンサートにしたいです。おもちゃ屋さんに行くときのようなワクワクした気持ちで、子ども心を取り戻すように楽しんでください!」
(朝日新聞記者・弓長理佳)
※AERA 2022年12月5日号