DF中山雄太(24)にも注目が集まっている。オランダ1部リーグのズウォレに所属する選手で、市場価格は約1億円。メキシコ戦では相手のFWで、エース背番号10番を背負ったライネスに仕事をさせなかった。六川さんはこう評価する。

「ライネスはフランス戦で相手を翻弄させたほどの実力のある選手。その彼を相手に一対一でほとんど仕事をさせなかったのは評価できます。今はオランダの中堅チームにいますが、より上のチームにステップアップできる実力を見せていると思います」

 また、今回大会で新たに注目を集めているのは、FW林大地(24)だ。サガン鳥栖に所属し、市場価格は約8千万円と日本代表選手の中では下位だ。今大会では2試合連続でスタメンに抜擢。前線から激しく相手プレーヤーにプレッシャーをかけ、攻撃でも積極的に飛び出したり、ポストプレーで攻撃の起点になるなど、日本の攻めに良いリズムを作っている。その運動量の多さから、「ビースト(野獣)」という愛称もついている。

 栗原さんはこう見る。

「ゴン中山(中山雅史)のような感じで、よく走り回り頑張っている。味方を生かすために身体を張ったり、スペースをつくってチャンスをつくるプレーをしている。ただ、フォワードなのでやはり点を取りたいところですね。今後の活躍次第では海外に行く可能性もあると思います」

■東京五輪が「分水嶺」

 まだ実力を発揮できていないのが、MF三笘薫(24、川崎フロンターレ)だ。国内屈指のドリブラーで市場価格は約2億3千万円だ。五輪終了後にイングランド1部リーグのブライトンへの移籍が決まった。今大会ではケガの影響もあり、初戦は出場せず。メキシコ戦で後半79分から出場。しかし、無理なドリブル突破からボールを奪われ、逆にピンチを招くなど、良いところを見せることができなかった。

「Jリーグではドリブルで3人くらい平気で抜けますが、国際試合ではそこまでテクニックを発揮できていない。海外では相手のリーチも長いので、まだその感覚がわかっていないのだと思います。海外でも活躍できる選手なのか、今大会が分水嶺になると思います」(六川さん)

「金メダルを目指す」という日本代表だが、ここまでの活躍を見るとその可能性は十分にある。となれば、市場価格もグンとはね上がるかもしれない。躍動する若き選手たちから目が離せない。

(文/AERA dot. 編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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