唯一の誤算は、酒井がイエローカードを受けたこと。これで累積2枚となり、次の準々決勝は出場することができない。だが、ここでも日本に“朗報”があり、相手が決勝トーナメント進出8チーム中で最弱と思われるニュージーランドに決まったこと。もちろん油断は禁物だが、宿敵・韓国や欧州の実力国・ルーマニアの可能性もあっただけに、それと比べると日本にとっては間違いなく戦いやすい相手だ。2000年のシドニー五輪ではアメリカにPK負け、2002年の日韓W杯ではトルコに0対1と、決勝トーナメント1回戦で「不覚を取る」敗戦を経験している日本だが、この東京五輪代表にはその心配もいらない。1戦目、2戦目を終えた段階ではまだまだ不安な点はあったが、3戦目を終えて、そのすべてが取り除かれた。
そして準々決勝でニュージーランドに“順当勝ち”すれば、チームの実力、ここまでの戦いぶりを見ると、準決勝でスペイン、決勝ではブラジルが相手になる可能性が高いのではないか。そう考えると、次戦では勝利だけでなく、いかに余力を多く残して勝つか。そして、冨安、遠藤航、田中碧、中山雄太、堂安律が、累積2枚目をもらわないことが重要となってくる。だがその課題も、ニュージーランド相手ならば難易度は決して高くはない。それを実行できれば、万全の状態でスペイン戦に臨むことができる。決定力不足の課題を改善できていない今のスペインならば、強化試合(1対1)以上の結果を得ることは可能だ。そうすれば、メダルは確定。あとはブラジルとの最終決戦に挑むのみ。これが理想の流れだ。
決勝トーナメントで「先を見る」ことは良いことではない。だが、ここまでは完璧すぎるシナリオで突き進んでいる日本代表。その台本には、すでに「メダル」の文字が書き込まれている。