プロが参加していない日本代表には新鮮さがあった。1988年のソウル五輪では野茂英雄、潮崎哲也、古田敦也、野村謙二郎と後にプロ野球で活躍する選手たちが活躍して銀メダルを獲得。96年のアトランタ五輪でも「ミスターアマ野球」と呼ばれた右腕・杉浦正則、「ミスター社会人」と呼ばれた強打者・西郷泰之のほか、福留孝介、松中信彦、井口資仁、今岡誠が出場し、銀メダルを獲得した。公開競技になった84年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得して以降は頂点に立っていないが、その戦いぶりはアマチュア野球の選手を知らなかった視聴者も巻き込んで盛り上がった。
今回の東京五輪で、日本は球界を代表する選手たちをそろえた「ドリームチーム」と呼べる陣容だが、野球ファンの反応は薄い。SNS、ネット上では、「連日報道される大谷選手の活躍があまりに凄すぎて、このメンツで世界一を争うというフレーズが薄っぺらに感じます。思い切って、アマチュアだけにした方が戦う大義名分が立つような気がします(原文ママ)」、「野球は五輪に合わないと思う。競技種目にするならアマチュアの選手だけが出場できる大会にした方がいい。個人的には金メダルを獲得してもどうも思わない。ペナントレースを早く再開してほしい(原文ママ)」など冷ややかな声が。
準決勝、決勝と勝ち上がれば白熱した雰囲気になり、盛り上がるだろうか。五輪の競技種目として、野球の在り方を見つめ直さなければいけないかもしれない。(安西憲春)