スポーツクライミング、スケートボード……。東京五輪では、伝統的な競技だけでなく、若者を意識した新競技にも注目したい。AERA 2021年8月2日号の記事を紹介。
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東京五輪では若者の人気を取り込もうと、都市型スポーツも採用された。
スポーツクライミングは、高さ15メートルの壁を2人の選手が同時に登り速さを競う「スピード」、6分の制限時間内に壁をどの地点まで登れるかを競う「リード」、課題のクリア数を競う「ボルダリング」の3種目の総合成績で争う。
男子で初代王者を狙うのは楢崎智亜(25)だ。身長は169センチで外国選手と比べて小柄だが、腕を広げた上肢長は180センチを超える。この体と独創性を武器に16年と19年のボルダリング・ワールドカップ(W杯)年間王者に輝いた。19年は世界選手権も制した。8月3日の予選は2位で、上位8人による決勝に進んだ。
女子の野口啓代(あきよ、32)は08年に日本女子初のW杯覇者となって以来、世界のトップレベルで活躍を続ける。19年の世界選手権でも銀メダルを獲得した。東京五輪を競技生活の集大成としており、「最初で最後の五輪なので楽しみたい」と語っている。
18年の世界選手権で男子ボルダリングの金メダルを手にした原田海(22)は予選18位で決勝進出を逃したが、18年ボルダリングW杯女子で年間総合優勝の野中生萌(みほう、24)もメダル候補。男子は5日、女子は6日に決勝がある。
■最年少12歳の選手も
スケートボードは街中にある手すりや縁石などを模したコースで行われる「ストリート」と、プールのような大小のくぼ地を組み合わせたコースで開かれる「パーク」の2種目がある。
ストリートの決勝は7月25、26日にあり、男子は21年世界選手権覇者の堀米雄斗(22)が金メダルを獲得。同女子は西矢椛(もみじ)が日本代表史上最年少の13歳で金メダル、中山楓奈(ふうな、16)が銅メダルに輝いた。
パークでは、男子の平野歩夢(22)が日本男子2人目の夏季と冬季の五輪出場となる。冬季五輪のスノーボード・ハーフパイプでは2大会連続して銀メダルを獲得した実力の持ち主だ。女子の岡本碧優(みすぐ、15)は小学6年で親元を離れて競技に打ち込み、現在は世界ランキング1位。開心那(ひらきここな)は夏季五輪で日本代表史上最年少となる12歳で出場する。決勝は8月4、5日に開催される。